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2019年6月 5日 (水)

肥料は使わない、という意味

自然農法の研究をしていて、9年目にして気づいたことがある。世間は、自然農法のことなど知らない。園芸に興味があって、家庭菜園を営んでいる人のほとんども自然農法を知らない。ネット検索や農業専門誌などを読まない農家は、なおのこと肥料を使わない自然農法など聞いたこともない。自然農法=無肥料栽培=は、とてもマニアックで、完全に農業界のニッチ(隙間)であるという現実だ。

インターネットの発達によって、自然農法に関する情報を検索することはできる。10年前には、福岡正信、岡田茂吉といった先駆者についても、大雑把だが知ることはできた。いまでは、私も含めて自分流の自然農法にチャレンジしている人はたくさんいることがわかる。私自身も、13年前に木村秋則さんの特集番組を視て刺激を受け、すっかり自然農法の研究にハマってしまった人間だ。当初は夢中になってネット検索したり、本を買い込んで読み漁ったりした。なので、自然農法についての世間の関心は高いものと勝手に思い込んでいた。

しかし、いま冷静に振り返ると、「実は狭い世界で、少数の人間だけで盛り上がっているのではないか」という気がしてきた。おそらく、そのことは間違いないだろう。だからこそ、自然農法については、いよいよ冷静なアプローチが必要な時代を迎えているのだと思う。

このブログも、開設したのは平成18年なので、なんと13年経っている。当時私は、新聞社を辞めてから福祉や教育、まちづくりの分野で活動していた。なので、URLのなかに「地域再生(chiiki-saisei)」という文字が入っている。ブログのテーマは「地域再生に挑む」だった。当時から社会構造の崩壊が始まっており、地域社会の人間関係も寸断されていた。どうすれば、私たち現代人は幸せな社会を手に入れることができるのか。それが私の活動のテーマだった。

そして、子育て、高齢者、障害者、いじめ、不登校、引きこもり、うつ、といったテーマを掘り下げていった結果、共通項である食の歪みにたどり着き、農業の世界に飛び込むことになった。

とくに自然農法の研究を始めたのは、2011年4月からだ。東日本大震災を経験し、「いまの日本が立ち直り、安心できる未来を手に入れるためには、自然農法の確立しかない」と思った。あれからまる8年が過ぎた。いろいろあった。ありすぎて簡単には言い表せないが、ひとつだけ象徴的なことがある。ブログに掲載する写真が、8年前と変わってきたことだ。

Kimg0152_1 以前は、野菜に思い切り近付いて撮影することがほとんどだった。いまは、すこし引いて撮影することが多くなってきた。このときの心理状態を振り返ると、われながら面白い。

当初は「出来栄えの良い野菜」だけを取り上げて、さもうまくいっているように発信していた。たぶん、自信のなさの表れだったのだろう。いまでも自信がついたわけではないが、さすがに8年も畑のことをしていると、「無肥料で野菜が育つ」のは当たり前だという感覚だけは身に付いた。写真はトウモロコシで、上のものが5月29日撮影、そして下のものは6月4日撮影。多少のばらつきはあるものの、肥料を使わずとも、どの野菜も大きく育ってくれる。

その理論もより明確になっているし、なにより野菜が美味しい。

Kimg0063 そういえば、以前は野菜の味にはあまり関心がなかった。それよりも、無肥料で成立する農業技術が必要だという気持ちが強すぎて、それどころではなかった。しかし、無肥料で育つことと、美味しい野菜であることは、表裏一体だといまはわかる。自然農法は、たまたま美味しい野菜ができることはない。大きく、たくさん育つなら、それはみな美味しい野菜になってくれている。

このことは、おそらく畑を直接見て、さらに野菜を味わってもらわないと理解してもらえないだろう。

見てもらったら、ようやく理論について興味を持ってもらえるのだろう。

そんなことを最近考えている。

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