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2019年4月15日 (月)

農業ということ~食糧生産の技術として

種を播けば育つ自然農法。温かくなって種を播き始めているが、ちゃんと野菜が育ってくれるかというと、そう簡単にはいかない。研究を始めてまる8年。これまで、野菜ができるようになるたび追い出されて、畑を転々としてきた。しかし、どんな環境でも無肥料・無農薬でできる技術を研究するには、必要な試練だったかもしれない。

千葉県我孫子市に拠点を移してまる3年。いま、野菜が無肥料で育つ仕組みは解明できたように思うが、次のステップは効率的に、大量に生産するための技術開発だ。そこで、昨年秋からマルチを試しているのは、以前の記事で書いた通りだが、春まきの野菜としては初めて「播種後の被覆」を行ってみた。
 
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写真(左)は、大根の種を播いた2条の畝。左の畝は播種後にそのまま、右は不織布をかけた。そして2週間、発芽は右側のほうが早く、成長スピードもまるで違うことがわかった。しかも、左の畝は、発芽はしたものの、虫に食われる確率が高い。右のほうは、使いまわしの不織布なので、ところどころ破れていて、そこだけわずかに虫食いが見られるものの、ほかは無事のようだ。なにより、すでに本葉も生えてきて、その成長具合には驚かされる。(右の写真は、手前の不織布をはがしたところ)
 
しかし、このことは「当たり前ではないか」と、農家や園芸経験者から笑われるのかもしれない。
  
園芸の教科書では、「マルチやトンネルハウスを使って地温を上げる」というのは、春先の栽培技術として紹介されている当たり前の情報だ。また、虫食いを避けるためにネットを被せるのも、無農薬農業なら常識といえる。しかし、「資材を使わずに育つなら、そのほうが良い」という考えを大切にして、ひたすら「種まきオンリー」にこだわってきた自分としては、昨年の秋から今年は「大転換」というべき対応を試していることになる。
 
そもそも自然農法の研究を始めた動機は、自然災害に強い自立的な食糧生産の技術が必要だと感じたことだった。それは東日本大震災のあった2011年3月。食糧自給率が先進国のなかで最低レベルであるだけでなく、肥料すらほぼ100%輸入に頼る日本の農業の真実を知ったとき、「いまの日本はどこまでいっても独立できない子供の国」だと思った。

なので、資材をなるべく使わない技術は、やはり自然農法の研究の基本であることには変わりない。
 
さて、ここから先は「農業そのものをどのようにとらえるのか」。難しい話になるが、自分の心のなかで整理しなければならない。初めの志を捨てて石油系の資材を使わなければいけないのか、やはり使わずに済む方法を考え続けるべきなのか。本当にこの数か月は悩んでいた。そして、最近は自然農法で実績のある方に直接お話しをうかがうことで、自分の考えをまとめることに集中してきた。その結果、ひとつの区切りがついた。

「これから自然農法を目指す人の立場に立ってみよう」「なるべく早く、無肥料栽培が可能になる経験を積むことが大事ではないか」「時間の経過とともに畑は進化するから、いずれはマルチなど使わなくても良い畑にはなる」「すでに生活を成り立たせている実践者は、野菜ができるようになるまで20年かかると話しているから、それを少しでも縮めるために資材を利用するのは、むしろ必要かもしれない」など。

そうして冷静に考えると、上記の写真は面白いことを語ってくれている。

不織布をかけた畝のほうだが、大根は伸び伸び育っている反面、雑草類は生えていない。冷たい風から守られている好条件なのに、なぜ大根だけが育つのか? これこそ、自然農法の面白さなのだと思う。この大根は自家採種4代目。この畑の環境に適応していると考えられるし、土の中の共生微生物も増えていると推測される。加えて防風、防寒の環境を整えるだけでこれほど育つなら、農業技術としてはかなりいい線を行っているのかもしれない。

写真の畝は、まだ改良を始めて3年目に入ったばかり。ベテランが経験してきた20年をどれほど短縮できるのか。マルチと不織布の有効な使い方を学ぶのも面白そうだ。この技術が完成すれば、いわゆる自給自足の農的な生活でも、食糧生産を目的とした農業も、どちらも行けると思う。

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