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2018年12月

2018年12月27日 (木)

2019年のテーマは「日本版シティ・ファーマー」

Photo_181107073740490日本はいま、大多数の国民が都市生活者になっている。そして、致命的な弱点を抱えていることに気づいていない。それは、食糧を確保する能力だ。今の時代、近くのスーパーに行けば、食べ物はいくらでも手に入る。スーパーが開いていなければ、ファミリーレストランに飛び込めばいいと高をくくっている。ところが、もし食糧の供給が何らかの原因で止まると、都市部は3日で食糧が底を尽いてしまうという。そうなれば、どこに飛び込んでも、食べ物を買うことはできない。

東日本大震災のとき、東京や近郊でスーパーの棚から食べ物が消えたことは、まだ記憶に新しい。いまも異常気象や不安定な国際情勢のなか、いつ食糧の供給が止まっても、なんら不思議はない状況になっている。その不安解消のひとつの手段として、自然農法を活用する日本版シティ・ファーマーの普及を2019年のテーマにしようと思う。

ロンドン、パリで大きな波を起こしつつあるというシティ・ファーマー運動。農業といえば田園の広がる農村地帯をイメージすることが多い。しかし、食の安全が揺らいでいるいま、都市生活者が自分の生活を守るために、自ら農作物を育てる思想・運動が広がっているという。都市部での農業といえば、プランターや鉢植え栽培だが、自然農法なら、安全で美味しい作物ができる。

まだ日本では「無農薬」と「無肥料」の違いを認識している人がほとんどいないようだが、両者はまったく違う。「無農薬」のほうは、種を播いただけでは野菜ができない。なぜなら肥料が必要だからだ。一方、「無肥料」のほうは、種を播くだけで野菜ができてしまう。自然農法というのは、「無肥料」の農業技術を意味している。

その自然農法が手軽にできるよう開発されたのが大型プランターや小型の植木鉢だ。技術提携している「歩屋ファーム(歩屋元気復活農場)」の仲間が手掛けている。写真は、狭いベランダでも栽培できるかどうか検証中の植木鉢。この穴の大きさや数を調整することで、肥料を使うことなく野菜が育つようになっている。忙しい都市生活者にとって、家庭菜園を楽しもうにも近所に畑がない人のほうが多いと思う。しかし、太陽の光はどこにでも注いでいるし、水も使うことができる。であれば、自然農法の小さな畑は、自宅のベランダや庭で可能だ。

光と空気と水。そのバランスが整うと美味しい野菜ができる。ただ、水やりのタイミングには、ちょっとしたコツがいる。それをつかんでしまえば、微生物や植物の声が聞こえるようになる。一度身に着けたコツは忘れない。いつか広い畑を持ったときに応用できる。それが、厳しい時代を生き抜くための安心につながるだろう。

2018年12月25日 (火)

2018年と3匹の子ぶた

年の瀬が迫り、この1年がどんな年だったか振り返ると、ふと「3匹の子ぶた」の童話を思い出した。原作はイギリス生まれの物語らしい。母ぶたの元を離れ、独立してそれぞれ家を建てる3匹の子ぶた。長男はワラの家、二男は木の枝の家、三男はレンガの家を建てる。この長男の建てるワラの家が、なぜか最近の日本に重なった。

数日前、NHKの朝のニュースで、象徴的な場面があった。まちかど情報室というコーナーに登場した若い母と子。お子さんはハイハイもままならない様子だったから、まだ生後5、6か月ぐらいだろうか。次の場面、その子はソファーを使って、身体をふらつかせながら、つかまり立ちをしていた。その様子を笑顔で見守る母親。そして、その場面を青ざめて見ている私と妻。

そういえば、私も父親になったばかりのころは、「早く立って歩けるようになるほうが良い」と思っていたっけ。しかし、いまは多少の知恵がついたので、早く立たせることがタブーであることを知っている。子育ての専門家は、「赤ん坊につかまり立ちをさせてはいけない」という。赤ん坊は、ハイハイによって体幹を鍛え上げ、筋肉が整うと、自力で立ち上がり、歩行を始める。専門家の一人でもある妻などは、「絶対につかまり立ちをさせてはいけない!」と強い語調で言うので、私はただただ気後れして「ハァ、そんなもんですか」と孫の成長を見守るしかなかった。(まあ、それで良かったのだが) 

近年の子供は体幹が弱いために、よく転ぶし、ケガが多いらしい。幼稚園や保育園の遊具も、昔のものは撤去され、ケガをしにくいものに変わっているそうだ。その様子は、まるで畑の野菜とダブって映る。地上に出ている部分は早く育ち、立派に見える。しかし根が張っていないので弱い。過酷な自然のなかで生き抜くには、本当は身体を支える根っこが大事なのに。目に見えない部分こそ、心を込めて大切にしなければいけないのに。日本の文化は、そこを大切にしてきたはずなのに。

そういったことがここ数日、3匹の子ぶたの物語と一緒に、頭をかけ巡った。いまの日本はどこもかしこも、吹けば飛んでしまうワラの家のようではないのかと。

インターネットの発達は情報の洪水を引き起こしているので、そこから必要な情報を拾い上げることが難しい。けれども、この1年間に、大きな2つの流れができ始めていることが感じられるようになった。簡単に言えば、従来の常識路線の世界で生きるのか、新しい世界をつくってそこで生きていこうとするのか。その境界はいままで曖昧だったけれど、来年はそこが明確になっていくと思う。

少し変わった表現をするなら、従来のニュートン力学の世界か、新たな量子力学の世界か、という2つの流れがもっと明確になっていくだろう。量子力学はすでに実生活にその姿を現しているが、気づいている人はまだごく少数にすぎない。実は、自然農法という技術も、量子力学の思考でなければ筋が通らないことが多々ある。そのことに、私も最近気づけるようになってきた。土の中も、われわれ人間の身体の中も、重力の影響を受けないさまざまな現象に生かされ、守られている。

ひと昔前なら、「お前は気が狂った」と言われたかもしれないし、いまでもそうかもしれない。しかし、2019年という年は、その話が伝わる人数も増えて、それと同時に新しい社会像の輪郭がはっきり表れてくるのではないか。

屁理屈はここまでにして、来年生まれてくる4人目の孫のためにも、美味しい野菜をつくろうと思う。厳しい時代になるけれど、自然はきっとわれわれの味方になってくれるはずだ。

2018年12月 9日 (日)

まだ日本は死んでいない‼ 鈴木忠夫さんという自然農法家

Photo_2千葉県香取市に、米や麦、大豆、野菜全般、ようするに塩以外のほぼすべての食糧を自前でつくっている鈴木忠夫さん(60)という凄腕の農業者を尋ねた。(写真中央、左はオーガニックスーパー「クランデール」の川田裕司社長)

鈴木さんは、代々農家ではあるけれど、祖父は桶職人、父は建具職人だったそうだ。鈴木さんも少しは建具の仕事を覚えたが、20歳のときに農業一本に仕事を絞ったという。農薬は使ったことがない。「初めは化学肥料を使ったけれど、23歳の時にすっぱり使うのを止めました」。
 
「なぜ?」と問うと、鈴木さんは一瞬考え込んで、「いやあ、(使っちゃ)ダメだと思って」と言葉少な。直感的に安全で美味しい米や野菜を作ろうと決心したようだ。優しい穏やかな口調で、言葉少なく、一瞬一瞬を大切に生きている人だと感じた。

化学肥料は止め、堆肥を使った。30歳で堆肥を止めて米ぬかだけを使うようになった。40歳のとき、「肥料は要らないことに気づいた」ため、無肥料栽培になった。それから20年、米も麦も大豆も野菜も、すべて無肥料栽培を続けている。

畑に茂っている春菊の葉を千切っていただくと、私はその美味しさにショックを受けた。自分の畑の野菜も美味しいと思うけれど、鈴木さんの野菜の美味しさは次元が違うと感じた。野菜の味は、生産者の人柄が出てくると言われている。それは本当のことだと確信する瞬間だった。

鈴木さんと同居している母君は、黒大豆で自家製味噌を作り続けている。ご近所では鈴木さんの農業が異端扱いだそうだが、味噌の美味しさは大評判だという。そして今年、「初めて醤油を作ってるんですよ」と鈴木さんは淡々と語ってくれる。米も麦も自家製なので、それが可能なのだ。

異常気象をものともせず、機械にも頼らない。米については、苗づくり、田植え、刈り取り、天日乾燥まで、自分の身体ひとつで農作業をこなす。完全な無肥料・無農薬栽培であらゆる作物を育てる本物のプロフェッショナルに初めて出会った。

世界に天変地異が起きても、決してへこたれず生き残る知恵と技術が日本に残っている。まだ、日本は死んでいない。

2018年12月 5日 (水)

やはり栄養価は高かった‼~ハル(Halu)農法

自然農法の研究を始めて8年になる。そしていよいよ、その野菜の栄養分析を行う時期が来た。つい先日、手元に速報が届いた。それによると、一般に出回っている野菜の平均値を上回る数値が検出され、完全な無肥料の野菜のほうが、肥料を使った野菜より優位であることが証明された。データ一覧

今回、ハル(Halu)農法を応援してくださっている千葉県松戸市のオーガニックスーパー「クランデール」の川田裕司社長のご厚意により、栄養分析の機会をいただいた。検査を依頼したのは都内の株式会社メディカル青果物研究所。2万件の調査データを持っており、「野菜の価値は、抗酸化力、免疫力、解毒力で決まる」という視点から、各種野菜の分析を行っている。

これまで一般に行われてきたミネラルやアミノ酸などの成分分析と違い、病気にならない、あるいは病気を克服するための栄養価という観点からの検査で、以下の4項目について調べていただいた。

1. Brix(糖度)
2. 抗酸化力
3. ビタミンC含量
4. 硝酸イオン含量(有毒性、えぐみの原因)

対象品目は落花生、大根、小松菜、パクチーの4種類。これは、自家採種をしていて、将来にわたって無肥料栽培を続けていけることがわかっている品種を選んだ。そして、気になる調査結果だが、例えば落花生の場合、以下のような数値になった。

1. Brix(糖度)  1.3倍
2. 抗酸化力    3.7倍
3. ビタミンC含量 1.4倍
4. 硝酸イオン含量 検出限界値以下

これは、平均値に比べてかなり高い数値だそうだ。たとえば、抗酸化力は、植物ストレス耐性を調べるもので、各種野菜の平均値が50~70となっているが、ハル農法の落花生の場合178という数値になっている。

そして他の3種類の野菜についても、すべての項目で平均値を上回っていたのが、今回の調査の大きな収穫だった。

比較対象の2万件のデータベースには、慣行栽培だけでなく有機栽培の野菜も含まれたものなので、少なくともハル農法の野菜は、肥料を使う野菜に栄養価で負けてない栄養価を持つことが証明されたことになる。

これらの野菜を栽培している千葉県我孫子市の本社農場は、改良を始めて2年半を経過したばかりなので、これから野菜の栄養価はさらに上がっていくだろう。とても楽しみだ。

2018年12月 1日 (土)

ベネズエラの惨劇~餓死する乳幼児たち。その原因は?

18venezmalnutritionslideuti7superju地球の裏側では、想像を絶する恐ろしいことが起きている。日本のメディアで、ごくたまに見かけるのだが、南米ベネズエラの経済破綻、政治破綻による惨劇は、我々の想像以上に厳しいらしい。

石油の埋蔵量では世界一と言われ、もっとも裕福な国のはずだったベネズエラ。すでに総人口3,000万人のうち、230万人以上が周辺国に脱出し、残された国民は、2,500%のハイパーインフレによって紙幣が紙屑になり、食糧を輸入することができず、飢えているという。

1歳児が餓死した写真もネット上にアップされているが、この事態は事実らしい。

なぜこのような事態になったのか? いまの政治の無力さを非難する記事がたくさんあるけれども、どうも、その原因について納得できる分析や評価が見つからない。しかし、理由は明白だ。

もともとベネズエラは、食糧生産にまったく力を入れていなかったことがわかっている。石油を売って、食糧を海外から輸入すればいいと考えていたからだ。ところが、2014年ごろから原油価格の低迷によって外貨不足になり、食糧を輸入するお金が一時的になくなってしまったという。

石油を増産するタイミングを逸したことで、食糧輸入が止まった。

つまり、国内に食べ物がない状態になってしまった。

一瞬でもそうなると、食糧の価格は一気に跳ね上がる。すると、それに引きずられて急速なインフレが止まらなくなる。2,500%のインフレということは、大根1本100円だったものが、単純に2,500円になる。家賃10万円が250万円になる。結局、割を食うのは貧困層で、そのなかでも弱い存在である子供たちが飢え死にするという、いまの日本では想像できない状況に追い込まれているのだ。

今年8月、ベネズエラ政府は5桁のデノミ政策を実行した。つまり、10万円を1円に切り替えた。となると、貯金1億円が1000円、100万円が10円になる計算だ。これによって経済はさらに危機的状況になっているという。どんな恐ろしいことになっているのか、もはや私にはイメージできない。

もとをただせば、食糧の輸入ができなくったことが引き金だったはず。食糧自給率の低さが、一気に経済破綻を招いたのに違いないのだが、なぜかメディアや専門家たちはそのことを言わない。

石油の産出国であるベネズエラでさえその事態に陥ったとなると、石油もない、食糧自給率も実質的にゼロ%である日本は、この先本当に大丈夫なのか?妙に不安な気持ちに襲われるこの頃だ。

*写真は、クーリエ・ジャポンの関連記事より引用

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