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2018年9月

2018年9月28日 (金)

美しいトウモロコシの種

自然農法の研究を始めて8年目にして、初めて「ちゃんとしたトウモロコシの種」を採種することができました。

Kimg1576それにしても、なんと美しい種でしょう。

自画自賛かもしれないと思って、トウモロコシの種についていろいろ画像検索してみましたが、やはり、この種は本当に宝石のようです。

しかも、乾燥させる前に少し食べてみたところ、ほんのり甘くて、濃い味がしました。

いままでは、種苗会社のトウモロコシを使って栽培実験をしていました。いかにF1品種といえど、自家採種を続けるうちに、「先祖返りしながら固定できるかもしれない」と淡い期待をしていたからです。

ほかの野菜については、(といっても、スイカ、小松菜、大根ぐらいですが)なんとか種を採れています。しかし、トウモロコシだけは、どんなに頑張っても、採れた種から発芽しないし、発芽しても「変な草が生えてきた?」ぐらいの生育状況で、「これはダメだな」と思っていました。

トウモロコシは、よほど遺伝子をいじられているのですね。それを身をもって体験しました。昨年の時点で、「日本の在来種が手に入らない限り、もうトウモロコシはやめよう」と決めていました。

ところが今年、知り合いからタイのトウモロコシの種を1袋(小袋)いただいたので、試しに栽培してみました。

まず驚いたのは、袋から出した種は、コーンの粒の形のまま乾燥していたことです。もちろん、薬剤は使われていません。

「えっ? トウモロコシって、こんな種だったっけ?」

私が知っている種と言えば、水分が抜けてしわくちゃになり、チウラムという赤い薬剤をまぶした種しか見たことがありません。なので、「トウモロコシって、乾燥するとシワシワになるのだ」と思っていました。

(ポップコーン種は粒が丸いですが、あれは皮の固い品種で、スウィートコーンとは違います)

Kimg1563さて、初夏のころ、種まきして順調に発芽し、すくすく成長してくれました。しかし、例年より1か月も早い梅雨明け。その後、私の畑では、2か月間にたった1日しか雨が降りませんでした。「夏野菜は全滅かな」と思っていたのですが、なんとトウモロコシは、写真の通り小さなものでしたが、いくつか実をつけてくれたのです。

(ほかに、小豆、スイカ、キュウリ、唐辛子は種を採種するだけはできました。メロン、ピーマン、ナス、パプリカはダメでした)

そして、乾燥したトウモロコシの種ときたら、なんと美しいのでしょうか。量は大きめのご飯茶碗一杯ぐらいなので、部屋で陰干ししているのですが、毎日手に取ってはにやけています。これだけあれば、来年はかなりの面積で作付けできます。

なにより、今年の干ばつに負けなかった種ですから、来年はとても楽しみです。もちろん、大雨になっても、そもそも雨に強いHalu農法なので、どんな気象条件でも、何らかの成果をもたらしてくれるに違いありません。

タイは、遺伝子組み換えを禁止している国です。やはり、種の力はとても大きいと実感しています。そして、この秋は小麦も初めて作付けしてみます。

いよいよ、穀類にも力を入れる時期にきました。

2018年9月25日 (火)

「あなたは子供に毒を食べさせていませんか?」

こんなフレーズの講習会が開かれるようになっているそうです。

Photoもちろん農薬の問題です。

この講習会に参加するのは、小さな子供をもつ若い母親が多いそうです。そして、講習会が終わると、「オーガニックの農作物が高いとかなんとか言っていられない」と急に意識が変わるのだそうです。

つまり、農薬に対しての情報に、いままで接したことがなかったのです。知ってしまったからには、「もう農薬を使った野菜や果物は、子供に食べさせられない」と思うようになるのです。

先月、米・カリフォルニア州で、除草剤の発がん性を認める衝撃的な裁判結果のニュースが流れました。このニュースは、文字通り「世界中を駆け巡った」ようですが、日本ではなぜか“停滞”しています。(この様子は、もう一つのブログ「Real Food」でまとめましたので、ぜひご覧ください。)

日本人の農薬への無頓着さは、いまにして思えば異常です。こう書いている私も、「自然農法の研究者であるから、農薬には関係ない」とばかりに、真剣に向き合ってきませんでした。このことは少し後悔しています。

それに、いまの日本は、農薬の危険性を訴える情報がネット上に出てくると、それを打ち消すような情報がたちどころにアップされるという、とても悲しい国になってしまったと思います。

(あたかも、農薬や食品添加物が安全なものであるかのようにアピールする業界や御用学者のメッセージは、とても正気の沙汰とは思われません。お金のことを考える前に、人間としての矜持を持つべきでしょう。そうでなければ、これから生まれてくる子供たちに申し訳が立ちません。)

20180924昨日、千葉県成田市で20年、有機農業を続けている弓木野毅さんにお会いして、話をうかがってきました(写真中央。左はオーガニックスーパー「クランデール」の川田裕司社長)。有機農業のいま、そして未来。日本の農業の未来について。弓木野さんは、8haの畑を完全無農薬の有機農法で1人で切り盛りしている野菜づくり名人です。

いま、日本の農業は衰退の一途をたどっています。みるみる耕作放棄地が増えています。20年前には勢いのあった有機農業の生産者は、いまはすっかり影を潜めているといいます。若い世代で有機農業にあこがれる人は多いものの、生活が成り立たず、自殺者も出ているそうです。

その原因は何なのでしょうか。

突き詰めれば、「農薬を使った野菜や果物を消費者が求めていた」からにほかなりません。見た目がきれいで、形が整っていて、色が鮮やかな野菜や果物であれば良い。そして、味や香りはどうでも良い。なぜなら、食品添加物(調味料・香料・着色料)によって、いくらでも美味しくなるのだから──。

高度経済成長と言われた1960年代からいままで、豊かさだと思っていた物質文明は、「偽の食べ物」によって支えられていた、ということだと思います。

農業の後継者は、いまのままでは増える要素がありません。多くの農家は、農薬を使いたくて使っているわけではありません。消費者の求めるままに使い始めて数十年。もはやそれが当たり前になっているので、変えようがありません。

そして、農薬による健康被害を多く受けているのも、農家や家族自身なのです。そして、現役農家の高齢化。家族は、親の姿を見ていて、決して「農家を継ぎたい」とは思いません。となると。

現状から推測される近未来の日本。弓木野さんは言います。「食卓から国産野菜が姿を消すでしょう。そして、名前も知らない外国の野菜がスーパーに並ぶようになる。でも、そのとき気づいても、もう遅いでしょう」。

私もまったく同感です。

食をめぐって、これから起きること。それは、生産者が消費者を選別する時代になっていくことです。いま、農薬を使わない野菜や果物を栽培している生産者は、一般野菜との競争から離れていきます。生活が成り立たないからです。そして、その価値を認めてくれる消費者を探して、その消費者とだけ結び付くようになります。

そこで生活が安定するようになれば、その生産者は安全な野菜や果物を作り続けることができるでしょう。できなければ、廃業です。そのプロセスがここ数年のうちに一気に進む気配があります。

将来、子供や孫のための安全な食べ物を確保したいと思うなら、いますぐ、信頼できる有機農家を見つけ出し、いまのうちにつながっておくしか道はないでしょう。弓木野さんとお話をしていて、それが現実なのだと確信しました。

そして、いまから有機農家を目指そうという人は、文字通り決死の覚悟でこの世界に入るしかない。弓木野さんは、そう話しています。弓木野さんのお話はまだまだ奥深い話がたくさんありますので、別途まとめたいと思います。

はっきりしているのは、いま日本の食も農業も、間違いなく崖っぷちだということです。

2018年9月21日 (金)

“奇跡のリンゴ”のその先~町田農園

Kimg1540世の中は広い。上には上がいる。

当たり前のことですが、つい最近、久しぶりにこのことを実感しました。

自然農法のリンゴ栽培にチャレンジして40年。一念発起して山を開拓した広大なリンゴ農園は35年の歴史を誇ります。

長野県松川村のリンゴ農家、町田登さんと幸子さんご夫妻にお会いする機会をいただきました。本当にどんなご縁なのでしょう。とても刺激的で、またほっと安心するような時間を過ごしました。

肥料も農薬も使わない──自然農法のリンゴは、いままで青森県の木村秋則さんがもっとも古いのかと思っていました。ところが、町田さんご夫妻はさらに昔から、この自然農法に向き合っていたのです。

もちろん、リンゴは美味しいし、これまでのストーリーをうかがうと、ひとつひとつが「なるほど」と胸にしみてくるのです。

1. すべてが無農薬ではない。
町田さんのリンゴは、すべてが無農薬ではないそうです。「いま言えることは、リンゴは品種だということ」。つまり、農薬を使うかどうかは品種によって異なるそうです。原種に近いほど、病気や虫食いに強くなる。
 
2. 世界中からさまざまな品種を取り寄せて品種改良する。
グラニースミスという品種があるそうです。病気に強い。これをもとに、品種改良された樹もあるそうです。種から品種改良し、台木に接ぎ木をして、収穫を早めるのです。一本の台木にいろいろな品種の枝が接ぎ木されている姿に感動しました。

3. 肥料はなくても大丈夫
そもそも、町田さんは「無農薬」を目指して山を開墾したのですが、時間とともに「肥料は必要ない」という結論に達したそうです。しかし、病気や虫食いは、その年の天候によって全然違ってくるそうです。なので、「長雨のときは、どうやってもカビが生えてくるから、最小限の農薬は仕方がないと思っている」そうです。放っておけば葉っぱが落ちて、実がならないので、仕方がないのです。

私が感動したのは、農薬を使うと、微生物も含めて生態系を壊すのではないかと心配しますが、その後も肥料など使わず農園を維持できているのです。町田さんの長い経験上、「何をどのように使えば、悪影響がない」という判断ができるということでしょう。

私は、これから果樹にもチャレンジしようと考えています。昨年春に植えたモモ、ナシ、リンゴ、ミカン、レモン、アーモンドのうち、ミカンとレモンは冬の寒さで枯れました。モモがもっとも生育が良く、小さいながら美味しい実をつけてくれました。ナシ、リンゴも順調に育っているように見えます。アーモンドは、植えた場所が悪かったのか、なかなか成長しません。

(モモの苗木2本のうち、1本については、よほど土壌との相性が良かったのか、信じられないスピードで成長を続けています。本当に不思議な現象です)

来春には、ブルーベリーを植えようと計画中です。

千葉県我孫子市の本社農場では、もちろん農薬を使うことは考えていません。しかし、「何をどのように使うと、生態系を壊さずに作物を育てらるか」という柔軟な考え方も、とても大事な気がしました。

いま、発想の基本にあるのが「多様な生態系」という考え方です。同じ品種の作物をまとめて栽培するときに、虫食いや病気が起きやすいように思うからです。

自然農法のビジネスを軌道に乗せるために、どんな品種をどのように作付していくのか、まだまだ研究課題は山積みです。

逆に、Haluの大型プランターなど、場所が狭くなるほど野菜は問題なくしっかり育ってくれることも分かってきたので、こちらの事業も面白いです。コンクリートの上に設置したプランターで、ものすごく良く作物が育っています。

2018年9月16日 (日)

「自然農法ノート」の有償頒布を始めました。

Halu農法に至るプロセスや、これまでに各地で自然農法に取り組んできた実践者への取材、これからの食糧生産に関する展望などをまとめたレポート「自然農法ノート」を有償で頒布することにしました。

このレポートは2014年2月にまとめたもので、このあと、特許出願し、翌2015年に特許を取得しました。
 
食の安全がますます不透明になり、異常気象による今後の農業の行く末にも不安が募るいま、自然農法という新しい可能性を追求していくことには大きな意味があると思います。とくに、農業生産を生業にしている人ではなく、むしろ新鮮な目で農業を見ることのできる人たちによる、新たな展開が必要ではないでしょうか。
 
1人でも多くの方に読んでいただき、ご意見をいただいたり、新たに実践していただきたいと願っています。
 
このレポートをまとめたあとも、Halu農法は進化を続けています。今現在、改訂版を執筆中です。「自然農法ノート」をお読みいただいた方には、改訂版を無料でお送りする予定です。

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2018年9月 6日 (木)

自然災害への備え

北海道の地震はびっくりしました。とくに全戸停電は、想像以上に生活への影響が大きいと、知人、友人からの安否の情報が届きます。
  
この地震のニュースで思い出すのは、7年前の東日本大震災です。もちろん、電気も止まりましたが、物流が途切れて、スーパーから食品がなくなっていく様子は、とても不安に感じたものです。このとき、「やはり日本の農業は、自然農法を確かな技術にしていかなければいけない」と強く思いました。
 
今年は全国的に異常気象が続いて、(もちろん、私の畑も雨が全く降らず)えらいことになりましたが、ここまでくると、この先をどうしていくか悩んでしまいます。

なので、気候に左右されない植物工場のような先端技術に世間の注目が集まるのは、とても自然なことのように感じます。だからこそ、あえて発信したいのは、自然農法の理論は、植物工場ととても相性が良い可能性があるということです。

この7年間は露地栽培のみで研究を進めてきたのですが、一部、ハウスでの栽培実験をしたことがあります。そして、とても成績が良かったという実績があります。具体的には、窓の開閉など動作確認するためのビニールハウスで、初めて作物を育てたことがあります。

それまでは、本当に機械の動作確認だけで、10年以上前にハウスを建ててから、一度も野菜を育てことがなく、もちろん、潅水設備もありませんので、ほぼ砂漠状態だった場所です。そこで春から高畝を造成し、水やりもできるようにしたところ、なんとわず4か月後には大玉スイカができてしまったのです。

たぶん、自然農法(とくにHaluの理論を使った場合)は、生態系のバランスが取れるまで時間のかかる露地よりも、むしろ野菜と共生微生物の関係を整えるだけのハウス栽培のほうが、効率よく作物ができるのではないか、と考えているところです。

Halu農法の理論そのものは、ほぼ間違いないと確信が持てるようになったので、これからは、Halu農法との相性が良い作物とか、果樹栽培など、一歩踏み込んだ実用化の研究に打ち込んでいく予定です。

自然災害に強い農業──なんとか現実のものにしたいと思っています。

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