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2015年11月 7日 (土)

有機肥料偽装問題の本質を考える

秋田市の肥料メーカーが出荷している「有機肥料」に化学肥料の成分が使われていた「偽装問題」が発覚し、メディアが大騒ぎしています。メディアが報道する論点は、「安心・安全の信頼が損なわれた」という肥料メーカー悪玉論です。

確かに、「偽装」という行為はモラルに欠けていますし、有機JAS認証を得ている生産者にとっては、その肥料を使ったことにより、認証を取り消される事態になる可能性もあります。こうなると実際の被害も大きく、モラルの欠如どころか、犯罪になってしまうでしょう。

しかし、この問題は、「善悪」の問題よりも、もっと深いところに問題の本質が隠されていると私は考えています。それは、ニュース番組を視ていたとき、記者の質問にメーカーの人が答えていた話の内容を聞いて、「やはりそうだよな」と思ったので、今回この問題についてブログに書いてみることにしました。

メーカーの人は、偽装の理由について「臭い」についてコメントしていました。つまり、肥料を乾燥する際、臭いが出て近隣から苦情が出ていた。そのため、臭いの元になる有機質肥料を減らし、化学肥料で補ったというわけです。私は、それを聞いて「なるほど」と得心がいきました。そして、このメーカーを断罪するのは酷な話だと感じたのです。

まず、臭いの元になっている有機質肥料って、要するに家畜糞です。はっきり言って、半端じゃなくクサイです。家畜糞が臭わなくなるほど完全に発酵を進ませたら、残る成分は無機肥料になります。つまり、「有機肥料=発酵途中の家畜糞=悪臭を伴う」は必然で、近隣住民とトラブルになるのも必至。となれば、有機肥料メーカーは、住宅の近くではそもそも営業が難しいということになります。逆に、住民に迷惑をかけずに営業を続けるなら原料(家畜糞)を減らすしか方法はありません。

メーカーの選んだ道は、近隣住民の生活(利益)を守ったという意味で、私は「なるほど」と思いました。

しかし、問題の本質はそこではありません。そもそも、悪臭のする原料を使って食べ物(農作物)をつくることは、自然の理に適っているのか、という疑問です。これは、家庭菜園で有機栽培を始めた人の多くも、いずれたどり着く疑問であろうと思います。

ところが、自分で野菜をつくることのない消費者にとっては、まず「有機野菜=安全」で、続いて「有機肥料の偽装=安全性と信頼が損なわれた」という一方的な結論にしかならないはずです。なぜなら、この問題を取材するメディアの人が、そもそも有機栽培や有機肥料についてほとんど知識がないからです。そういう人たちが今回の問題を取材したら、メーカーを叩く以外にしようがありません。

しかし、この問題がこのように発覚することで、「有機栽培」や「有機肥料」について広く議論する機運が生まれるのではないでしょうか。本当に有機肥料は良いものなのか? 臭いのする有機肥料を使う農作物は、本当に安全といえるのか? 

無肥料栽培「Halu」を広く普及させようと考えている私にとって、今回の問題発覚は、出るべくして出てきたものです。そしてこの問題が、無肥料栽培という未来農業の道を開く、大きな流れにつながるのではないかと感じるのです。

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